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2018-12-07

001 税務調査って何?ー税務調査は強制調査?ー

実は、私自身も税理士になるまで、税務調査はそもそもどういうものか、わかっていませんでした。
最近、顧問先の方々や友人と税務調査に関する質問をうけることが多くなってきました。
税務調査は、法律に基づいて行われる必要があります。
税務調査に関する法律って何?
具体的に何が定められているの?
という疑問について、掲載していきます。

■法律上の税務調査の種類

アナウンサー「今、国税局の査察が入りました!」
などのテレビ中継がありますが、あの光景は、一般の税務調査と大きく異なります。

税務調査の種類は、法律上は大きく三つに分類されます。

①国税通則法 税務調査 納税義務確定のための資料収集を目的とする調査
(国税通則法74条の2(質問検査権)等)
②国税徴収法 捜索  滞納処分のための財産等を探すための調査
(国税徴収法141条(質問及び検査)、142条(捜索)等)
③旧国税犯則取締法 調査 脱税などを取り締まる刑法の特別法、犯罪捜査に近い
(国税通則法131条等・旧国税犯則取締法1条)

となっています。
TV中継などは、③の脱税などを取り締まる旧国税犯則取締法の調査と考えられます。
(この国税犯則取締法は、現在、国税通則法に編入されました)
会社(法人)、個人事業者や相続があった場合の調査などは、①の税務調査に区分されます。
テレビのような強制的に調査が入ることはありません。

■税務調査ってすべて強制調査なの?

私たちが一般的に受ける税務調査は、強制調査ではありません。
(強制調査とは、一般的に裁判所から出された礼状をもって調査に入ることをいいます。)税務調査に関する法律上の文章を見てみましょう。

国税通則法
(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
第74条の2 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(略)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(略)を検査し、又は当該物件(略)の提示若しくは提出を求めることができる。

これが、税務調査に関連する条文の一つです。
基本的に、税務調査は「必要があるとき」しかできません。税務署はその必要性をなかなか開示しませんが、それも問題の一つです。
しかし、税務調査は、「半強制」と言われています。
令状を伴う強制調査ではありませんが、以下のような罰則があるため、「半強制」となってしまいます。

<国税通則法>
第128条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 (略)
二 第74条の二、第74条の三(第二項を除く。)若しくは第74条の四から第七74条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 第74条の二から第74条の六までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者

国税通則法128条で、税務調査を拒否した場合の罰則が定められています。
このように法律の構成によって、
・建前は任意調査だけど、拒否すれば罰則がある
となっています。
そのため、「半強制」と言われています。
ただ、税務署が、調査の日時、場所などを一方的に指定してくる場合がありますが、
これらは変更することが可能です。
事前通知のところでエントリーする予定です。

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