論文「クラウド会計ソフトを利用規約から考える」
論文を書くと、自分のなかで漠然としていたものが、すっきりします。
その感覚が結構好きなんです。
もともと、ガジェット系は好きで、DropBoxなどのクラウドシステムはいろいろ使っていました。
しかし、その危険性もそれなりに認識していたつもりでした。
そのクラウドが、税理士業界、会計分野を席巻し始めたとき、
便利さの裏で何か問題はないのか、危険がある気がする、と思っていました。
それで、調べ初めて執筆したのが、この論文です。
利用者の同意なく、税務署などから照会された場合、クラウド運営会社が、帳簿を公表してしまうのかどうか、
ここが一番の危機意識でした。
「隠す情報などないから別に見られても良い」と言う方もいると思いますが、
そもそも国家権力が、「不必要」に個人、法人を問わず民間の情報を集めることは、極めて危険なことです。
そんな懸念をもっていたところ、こんななニュースが。
Tカード情報を令状なく提供、規約明記せず レンタルや購入履歴、会員6千万人超ー産経ニュース
そもそも、税務調査の開始前に、別のところに調査にいくこと(反面調査、といいます)は、違法な調査です。
税務調査が始まって、必要があるときには、反面調査に行くことが可能だからです。
税務調査はあくまで任意調査であり、「犯罪捜査」ではありません。
最近の「何が何でも重加算税だ」という立場で、無理矢理脱税に近い行為があったと認定し、
罰金をとろうという法律無視の税務調査が増えてきています。
最近、聞いた話では、私用のゲーム機を間違えて経費として計上してしてしまったケースがあります。
これまででしたら、単なる間違いとして取扱い、修正申告をすればよいだけです。
間違いは誰でもあることです。
しかし、この間違いを、重加算税の基準となる「仮装・隠蔽」行為があったとして、
つまり悪意をもって意図的に行い、税額を少なくしたと認定して、重加算税をかけようとしている、とのことでした。
こんな悪質でいい加減なことが税務調査でまかり通っているのです。
税務調査開始前に、税務署がすべてのデータを入手して、調査に臨むような時代が来たら、
税務署等からの問い合わせが、クラウド管理会社に行ったとして、
それを個人情報ですからと開示拒否をすることができるかどうか、
ツタヤの例を見ると、とても不安です。