伊藤真「刑事訴訟法入門」から考える①
これから、毎週月曜日、金曜日更新していきたいと思います。
月曜日は、税務や仕事に関すること、
金曜日は、道具、仕事術、その他好きなこと
をエントリーしていく予定です。
伊藤真さんの「刑事訴訟法入門」を読みました。
実は、2017年の国税通則法改定において、
それまで別の法律であった国税犯則取締法(国犯法)が丸ごと国税通則法に「編入」されました。
国犯法は、名前の通り脱税犯などの犯罪を取り締まるための法律です。
法律のカテゴリーでは、税法分野ですが、「刑事訴訟法の特別法」という位置づけです。
しかし、条文数も少なく、戦前の法律の内容をそのまま引き継いでおり、問題点が指摘されていました。
たしかに改正が必要な法律の一つでした。
当然、脱税という犯罪を取り締まる法律ですから、その調査の方法や手続規定も、通常の税務調査とは大きく異なるものになっています。
これが、一般の税金に関する法律の調査を規定する「国税通則法」に編入されたことは、様々な面から大きな問題を孕むことになります。
「脱税等を犯したと思われる被疑者」に対する調査の方法が、
「所得の確認などをするための納税者」に対して利用されるのではないか、
そんな懸念に警鐘を鳴らしたのは、税理士のなかでも当時一部の人たちだけでした。
税理士でも、そもそもこの事実を知らない方や、正直なんのこっちゃ、と思っている方も多いですし、一般生活からはかけ離れている話です。
しかし、最近、その国犯法の「調査の方法」が、通常の税務調査で一般の納税者に対してなし崩し的に導入されている事実が明らかになってきました。
「調査の方法」の内容だけを見れば、納税者を「犯罪者扱い」しているようなものです。
この問題を批判的に検討し、論説を執筆しようと思いましたが、
「刑事訴訟法の特別法」ですから、刑事訴訟法の基本的な考え方は勉強しなくてちゃいけないわけです。
そこで、伊藤真さんの入門シリーズを読むことにしました。(続)